失われた神業

joybiz2007-10-07


JR津田沼駅のオートキオスクを見た時は衝撃だった
人間の退化の証拠をまた見つけてしまった気がした…


昔、社会人になりたてのころ、朝のキオスクで怒濤のように現れるサラリーマンを瞬時にさばく店員さんには畏敬の念を覚えたけれど…

お馴染みの顔が店先に現れただけで、セブンスターとサンケイ新聞が用意され、瞬時にお金が手渡される

その間、わずか2秒


技術がどんなに進歩しても、この神業に勝る機械はつくれまいと密かに思っていた


客の顔を瞬時に認識して決まった商品を用意し、差し出しながら差し出された代金のお釣を計算して同時に手渡す…それを3秒以内に

さらに顔色が悪ければ
「あら、夕べ飲み過ぎ〜?」
軽く茶化しつついたわってあげる

「2、3日出張で来ないから」と、なぜかスケジュール申告して行くサラリーマンには
「はーい、がんばってきてちょうだいねー」とハスキーな声で、けだるく応援する


うーん
こんな機械は絶対に科学技術では作れない

改札が自動にできても
券売機が自動にできても人間が一方的に機械に合わせて指図されるだけでそこに調和はない


でも昔の朝のキオスクには、人間同志がつくりだす阿吽の呼吸の間や、一瞬になされるものの緊張感があって、とても生産的だった



人が人を必要としない世界が生まれている

効率と利益と採算だけを重視して世界を推し進めていくのなら、最後にたどり着くのは、人間自体がもっとも効率の悪い存在だ、と地平なのではないだろうか


私たちはどこかで世界がそんな風が吹く場所へ押し流されていっていることを知っている




自分も必要とされていない…

オートキオスクをみた時、ホームから電車に飛び込む人が減らない理由がわかった気がした