煙が目に沁みる
タバコは大嫌いだ
禁煙席がないカフェやレストランは言語道断だと思うし、あんなに腹にたまらない、空しい煙を吸い込んで身体を痛めて何が嬉しいのだろうと思う(そう言いつつ、本人は同じく腹にたまらないキシリッシュガム中毒者だけれど)
けれど、タバコが似合う人は案外好きだったりする
すごい矛盾
このことに気付いたのはつい最近
実にタバコの似合う男性に出会ってからのこと
タバコの持ち方、煙の吐き出し方、灰皿での揉み消し方…長年の時を経て体に馴染んだであろう動作が、実に自然でシブい
そこには、その人がタバコとともに過ごした年月と、紫煙に託す物語がある
若造がカッコつけに、慣れない手つきで吸っているのとは、かなり違う
一方で、タバコがまるっきり似合わない人もいる(いる…というよりほとんどの人は似合わない)
この違いはどこからくるのだろう…?
まず、女性には似合わない
残念だけれど、タバコは明らかに男性性の領域にある嗜好品で、女性はどんなに頑張っても男性ほどタバコが似合う人にはなれない
ああ。そうだ
だから、タバコが似合う人というのは、多分、男性に生まれなければわからない経験をした人で、尚且つ、そのことを受け入れて生きていこうとしている人なのだ
だから不思議とタバコが似合う人というのは、同年代の人に比べてオヤジくさくない
オヤジになるにはシャイ過ぎる(のだと思う)
忘れられない人がいるとか、失っていない情熱があるとか、多分、誰にも奪い得ない何かを持ち続けている人…
女性は、そんな静かな世界を持っている男性にはこっそり、嫉妬してみたりする
それを考えると深みにはまりそうだから、それはまた別の話
それにしても、いくらタバコが似合っても、ヤニ臭い息で仕事の指示を出されるのは、ちょっと苦痛…