キリストの罪〜超新訳聖書〜
西欧人の潜在意識には
未だに原罪的な
罪悪感が淀んでいるのだそうだ
リンゴの実を食べて
智恵を得た罪と
救世主を磔刑にした罪と
ダブル原罪に
生まれた時から苦しんでいれば
さぞや成功願望も強烈だろう
いまや世界共通のサクセスモデルが西洋型なのは
ひとえに、成功して罪悪感から逃げようとする
罪無き罪人たちの空回りが為した
ささやかな布教活動だったのか…と思う
イヴがリンゴを食べた時
歯茎から血がでて
人類最初の歯槽膿漏が
発見されたとか
「やっぱ、リンゴはジョナサンゴールドより、むつのがうまいワ」
とつぶやいたとか
そんな創世記だったら
それに続く人類の歴史も
どんなにおもろかったろう
カインとアベルは兄弟喧嘩せず、亀田兄弟のように世界タイトルを目指すだけで済んだかも知れないし
ノアの方舟は
実は隅田川の屋形船みたいなことがしたくて
建造されたかも知れないし
キリストは
磔になるまえに逃げ出す余裕ができたかも知れない。
最後の晩餐で
「明日、こんなかの誰かが裏切る予定やろ?わかってんのやで〜ちゃんと。なんたって、神の子やからな。んなわけで、トンズラすることにしたから。後はよろしゅう頼んます」
と、風を食らって逃亡したら
ユダは裏切り者でなく、
裏切られた者として
悲劇のヒーローになれたかも知れない
そこでの新訳聖書の教えは
やばくなったらひとまず逃げよ
退路はいつでも確保しておけ
ダヴィンチが描いた傑作
最後の晩餐も、構図がガラッと変わって
やさぐれた救世主とその仲間たちの図になっていたかも知れない
あらゆる人間の罪を背負って
磔になったキリストの罪は
他人の分の責任まで負ったことで
拭いがたい罪悪感を
後に続く世代に物語らせてしまったこと
あん時、わかってたんだから無理せず逃げりゃよかったよ
真面目すぎたな
まだまだ青かったよ、オレも…
キリストがそんなこと言うわけないが…