忘れられない忘れもの

人は生まれてきた時
生まれる以前の記憶も
ちゃんともっている


ただ忘れているだけ


そう話すと
大抵の人は鼻先で笑う


おとといの夕飯のおかずすら、すぐには思い出せないのだから
それも仕方ない


人はわすれながら生きて行く


けれど生命は忘れない


身体の記憶の底に
すべての経験の記憶を保持している


その目的は知らないけれど