鳩の翼

ビルの屋上から
鳩が優雅に弧を描いて
舞い降りてきた


この冬 一番寒い朝の空気を裂いて

ただ決められた道を
駅へと流れて歩いてゆく顔色の悪いアンドロイドの群れをあざ笑うかのように


翼を持って生きることの喜びを高らかに謳うように


鳩には勝てないかも知れないが
人間にだって
何かあってもいい