彼女が選ぶ道

姪が中学でいじめにあっているらしい


いじめというより
部活の仲間内での
巧妙な貶めあい


時に10人近い相手に
ウザイ キモイと
白眼視され


時に手のひらを返して
和解を求めてくる


人の心に鈍感な世代ならではの

残酷な居場所獲得ゲーム


彼女はたった独り孤立するなかで

自分なりに本を読み
考え


いじめることも
いじめられることも
どちらもしないことに決めたという


どちらもいやだと感じる
自分の気持ちに正直に
偏らずに立つことを
自ら選んだ


群れをなさず
独り歩む道


人にとって
最も困難な道


それができるのは
どんなあなたでもいいと
しっかり彼女を受け止めてきた父母の守護を
彼女が絶対的に
信頼できているからこそ


何があっても
人の悪口は
絶対に言ってはならない


悪口合戦の渦中では
父親のその教えが
彼女の品性を守る


父親とは
こうして娘を守るものなのだなと思う



一時は
仲間から阻害されるのは
自分が悪いからではないかと悩んだそうだ


けれど

「彼女には何も問題はありません
このままいきましょう」


学校の面談で
教師は両親にそう言って励ました


そのまんまでいい
そのまんまいけ…


見ていてくれる大人が周囲にいることが
彼女の力になる


今までにも
何度も
身を裂くような痛みを
超えてきたと
彼女は言う


「でもね、壁越える前は痛いけど
越えると痛くなくなるの


赤ん坊の頃
彼女のまんまるな笑顔は
本当にヒマワリのようで

生きることへの
無心の信頼を
満面の笑みで教えてくれた


14歳


彼女は変わっていない