No Story

どんな物語も
生み出さない次元



そこが最終目的地



神話に始まり
宗教に変型し
体制にすがたを移し
人は自分を定義する物語を自ら作り出し
自ら拘束され
出口を見失った




それは
かなり間抜けな図



けれど物語を真剣に生きる必要がある人は
自分が物語に登場する
架空の存在であるとは信じたくない



父でなければならず
母でなければならず
娘や彼女や姉や弟
夫や長男や次男
彼氏や彼女
病人や医者
教師や道化師
偽善者や敗北者



それら数々の役割を
演じることが生だと
信じている



役割の中で
満たされることは
あり得ない



偽りの充足に気づけば
それは不満に変わり
さらなる充足のために
奮闘努力が必要になる



努力も必要性も
神話の要求



人が努力で満たせるものは他人の期待



それは底のない桶



他人を満たしうるという伝説が
人を努力の地獄へ堕とし込む




古い古い
伝説の物語が
もうすぐ終わる時が
近づいている




もっとも痛ましいのは
自らが懸命に生きた演目を
必死で行ってきた努力を
否定してしまうこと



努力と演技には
意味があった



たくさんの暇が潰せたことと
それをブラフマンが楽しんだということ



自分達は
滑稽な生き物の時代を生きたと



それで充分ではないか



もともと
もっとも間抜けなせいぶつを楽しむことが
人間の役割



人間という役割を演じるなら